2013年4月13日土曜日

MAN構築のすすめ(9:アメリカで起こったある事件)

これは私が某、外資系の会社で働いている時に実際に起こった話しです。

その会社は、冗長化のため、国際データ回線を別々のキャリア(通信事業者)に発注し、運用しておりました。一つ目の回線はZ社。もう一本の回線はY社。どちらも同じようなSLA、帯域幅も同じ、ほぼ同一のサービスを2社にオーダーし、片方がダメになっても、もう一本で運用できるような冗長構成になっておりました。
ところが信じられないことに、ある日、両方の回線が見事に同じ時刻に不通になってしまったのです。
全く異なる通信事業者に発注し、冗長化を図っているのに、なぜ?という疑問がわくでしょう。両方の回線はそれほど長時間の回線断絶をせずに、SLAにのっとって、一定の時間の後に回線が立ち上がりました。

後からこの回線切断の原因を聴いて驚きました。なんと、両方の通信事業者は米国内の国道沿いを走る同じファイバーを使用して回線を運用していたのです。
そもそもの回線断絶の原因は、国道でショベルカーが誤って通信ケーブルを切断したことが原因でした。その瞬間、一斉にサービスが落ちてしまったのです。

それ以来、それぞれのキャリアに物理的なルートをある程度開示させ、同じケーブルを使わないような構成に変更させたことは言うまでもありません。

2000年台に入って、特に911テロ事件のあと、こういった通信インフラがテロの攻撃対象になりかねない、という懸念の元、日本国内でもだんだん情報開示がされないようになり、いまは多くのデータセンターやNTT局舎などは公開されなくなってしまいました。

ところがNTTだけは幸か不幸か、かつて電電公社時代、電話の申し込みといえば電電公社の窓口(多くは局舎)に出向かないと回線を導入してもらえなかったため、その名残で交差点にNTT前とか、バス停にNTT前、などと、現在も名前がそのまま開示されているケースも多数見受けられます。
NTTはハウジングサービスも以前は局舎内で行なっており、機器導入のため立ち入ることも出来ましたが、ここ10年くらいは、通信設備のある局舎内部に一般ユーザーが入ることはほとんどできなくなってしまいました。(公にスペース貸ししているデータセンターなら話は別ですが、最近はこういったスペースを、いわゆる局舎の重要な設備には分類されており、立ち入りができないようになっています。)

日本だと、某S社などはNTTのファイバーを使ってサービスを提供していることが多いようですから、こういった事故は今後、日本でも起こりうるかもしれません。
(NTTがおちるとS社もおちるとか)ありえない話ではありませんよね。

つづく








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