2013年4月12日金曜日

MAN構築のすすめ(4:機器準備編)

前回までの説明でなんとなく流れはわかって頂けたでしょうか?
さて、今度は自分たちの機器の準備にかかわるるお話です。


ダークファイバーはその物理的な特性故に、回線速度は回線事業者が決めるのではなく、自分たちの機器でなんのモジュールを繋ぐかに寄って決まります。
例えばあなたがCiscoの6500または4500というスイッチを持っていたとしましょう。この際OSバージョンは関係ない、と言いたいところですが、特にシスコの場合は互換性に関して最新の注意を払うことです。

都内であれば例えば10G-ERかLRで十分対応できると思います。


10Gモジュールの例

SFP 10G-LR
XENPAK 10G-ZR
XENPAK 10G-ER
XENPAK 10G-LR


LRは10km、ERは20km、ZRは概ね80km程度まで対応しています。ただし、距離がこれより短くてもファイバーの減衰が大きければ途中に増幅器を入れなくてはなりませんが。
なお、注意事項として、これらモジュールの仕様で定義されている距離(40kmなら40,、80kmなら80kmという値)は一般的に始点から終点まで全て融着で接続した場合の例で、日本のように複数の事業者で途中にコネクタ接続が多数発生する場合、単なるリファレンスとしてしか使用出来ません。実際は伝送距離がこれよりも短距離になると思ったほうが良いでしょう。一般的にモジュールが認識する光信号のレベルがモジュールの仕様に記載されていますので、これをたよりに伝送距離に対してどのモジュールを選ぶかを選定することになります。

http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/ifmodule/10gbm/prodlit/10gbsfpm_ds.html

http://www.cisco.com/en/US/prod/collateral/modules/ps5455/ps6574/product_data_sheet0900aecd802a61b9.html


予め、構成表を御社のCiscoなどのベンダー(Ciscoでなければそれ以外のネットワーク機器ベンダー、上記の距離仕様は概ねどのネットワーク機器業者も共通です)に計画をよく相談しておきましょう。
場合に寄ってはIOS、NxOsなどのアップデートも必要になる場合があるかもしれません。充分に互換性確認を行なってください。


1) どのスピード?1G.10G?
2)想定される距離、減衰値は。
  (机上の計算値をファイバー調達業者からもらっておく必要があります。)
3)テストは?
  自分たちのネットワーク機器を接続する前に、回線開通時にコネクタの端から端まで相対的な減衰値を測定してもらうと良いでしょう。

(OTDRなどの測定器を自分たちで調達することも可能ですが、これらの測定器はかなり値段の張る物です。調達業者に試験まで立ち会ってもらうよう協力を依頼しましょう。)

よくあることですが、引渡し分界点までは減衰値は悪くないのに実際に機器に接続すると光を認識できないなどのトラブルも起こりえます。必ず測定器は準備しておきましょう。
なお、ちょっとしたゴミやホコリが付いただけで大幅に減衰することもありますから、光ケーブルやパッチコードのトラブルシューティングが出来る人、または業者と契約していれば支援を仰ぐのも手です。(調達業者に協力を依頼するのも手です。通常、エアガンやクリーナーは大抵持っています。)
なお、光ファイバーは曲げに弱いものです。最近はかなり曲げ影響が出にくいものも出ていますが、もしダークの回線を主回線として使う場合は、蛇腹(洗濯機のホースみたいな奴)などで保護し、第三者がマシンルーム内でパッチコードに触れないようにすると良いでしょう。

<回線の安定性テスト>

基本的なレイヤー2-3の接続が確認できてPINGテストなどが良好であれば、1週間-2週間程度、安定化チェックを行いましょう。
安定化といっても要はLeyer2のアップダウンが発生しないか確認するだけです。
どこかに接触不良や融着に問題があったりすると、突然回線が落ちたりすることもあります。(通常は融着完了時に導通試験をおこなっていますので普通はありえないとおもいますが)


以前働いていた会社で数十本のダーク調達を行い、ネットワークを運用した実績がありますが、初回のトラブル(予想以上にパフォーマンスが良すぎて光が強すぎ、アッテネータを入れる)といった初期トラブル以外、運用開始後はほとんどトラブルらしいトラブルはありませんでした。

どちらかと言うと、問題が起こる箇所は通信キャリアの分館点により手前(例:自分たちが用意したパッチコード不良など、が原因の事が多いようです)

なお、最近は40Gのモジュールとか100Gのモジュールまで開発、実用化が進んでいて、どんどん速度が上がっていますが、1Gや10Gとは違う物理特性が求められる場合もあります。
10Gでうまく行ったからといって40Gにモジュールを差し替えてそのまま動くとは限りません。モジュールの仕様や伝送特性をよく確認し、本当につながるか事前に調べてから導入計画を進めましょう。


続く。


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