2013年4月12日金曜日

MAN構築のすすめ(1:序章)

1)このブログの目的。
このブログは筆者の経験を元に、もっと安く効率的に拠点間通信を構築する方法をこのブログでとりあげ、紹介していきたいと思います。


2)このブログの対象者
誰が読んでも構いません(笑)。ですが、一般的には企業とか、最近よくあるデータセンターのITインフラ責任者、ネットワーク管理者、あるいは構築責任者、。IT部門のCIOなど、ITインフラ構築のパフォーマンスやコストに頭を悩ませている方々にお役に立てればと考え、このブログを立ち上げました。
このブログを読んでいる読者の中には、自分はITのコストや予算は関わっているが、実際の技術面はちんぷんかんぷん、という方もいらっしゃるかもしれませんが、概念を理解するだけでも役に立つ部分もあるかもしれません。概念としてこういうインフラテクノロジーが存在し、コストの概念も違うということを理解していただけるでもお役に立てていただければ幸いです。


基礎編

-MANってなんですか?
MAN。ここで言うMANは男性とか、人間の事ではありません。IT用語でMANはMetro Area Networkの略称です。日本ではほとんど耳にしない言葉です。
そのまま直訳すればメトロエリアネットワーク。地下鉄のことをよく外国ではメトロなどと呼んだりしますが、要するに近距離都市部のネットワークという意味になります。
海外の大都市に住んだことのある方ならわかるかもしれませんが、東京という街は海外の主要都市に比べるととてつもなくその範囲が広いのです。通勤圏(電車で1-2時間程度)にこれほど住宅が密集している大都市は世界中みてももあまり例がありません。
メトロの枠組みとして例えば京王線や小田急線、東部東上線などをいれてしまうと、これはもはやMANとは呼べず、WAN(Wide Area Network、広域ネットワーク)ということになりますので、ここでのMANの概念としては主に東京23区。伸ばしてせいぜい横浜、さいたま市、幕張程度をスコープにいれてもいいもかも知れません。八王子となると少し微妙かもしれません。(MANには距離の定義はありません、たとえば50km圏内以内とか)

筆者、よく本屋には行きますが、書店などに行ってもMANに関する構築方法を紹介した本は殆ど見かけません。唯一関連する書籍としてDWDMと取り上げたものが多少ありますがCWDMなど、米国では比較的ポピュラーなテクノロジーもなぜか日本ではほとんど紹介されていませんし、その構築を紹介した書籍もほとんど目にしないというのが現状です。寂しい限りです。
ここではその辺りのところも触れながら述べて行きたいと思います。



-ダークファイバー
ダークファイバーとは、光の灯らない(暗い)ファイバー芯線のこと。みなさんの中でADSLに興味のある方はドライカッパという言葉を聞いたことがあるかもしれません。カッパー(メタルともいいます)とは銅線のことで、みなさんが普通NTTにアナログやISDN電話回線を申し込むと、家に引いてくれるあの2線式の電話線のことです。中を情報が何も流れていないので使われていないメタル線のことを水が流れない川に例えてドライカッパーなどと呼んだりもしますよね。
すこし余談が多くなりました。

要するにダークファイバーとはNTTなどの大手通信事業者が敷設した光ファイバーケーブルのうち、未使用でつかわれていない光ファイバー芯線の事を言います。
小泉内閣全盛の頃、E-JAPAN構想というのがあったのを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。インターネットが爆発的に普及し、国として通信インフラの有効利用、またその活性化を助長するため、主にNTTに対して使っていないメタルや光ファイバー資源を開放し、通信業界や学校、団体などに開放を促してデジタルデバイドをなくそう、という動きが広まりました。また、アメリカなどではすでに大手電話会社のAT&Tなどに未使用のファイバーを開放させ、通信事業者間の競争が促され、通信コストが飛躍的に下がったなどの背景があり、日本でもNTTに対して法律で他の事業者に対しての開放が義務付けられました。
こういった背景も有り、あまり物理的なインフラを持たなかった当事の第二種通信事業者などがNTTから光ファイバーを借りあげて、自前のネットワークを構築するなどの動きが広まりました。
これからこのブログで取り上げる内容はこのダークファイバーを有効活用し、企業のネットワーク構築を推進しようという内容です。


-日本の企業の現状
昨今のデータセンターブームや、仮想化ブーム、クラウドブームによって、いま多くの企業はサーバーを自社ビルに置かずに、オフィスとは異なる拠点のデータセンターなどに移したり、あるいは両方にサーバを置いて冗長化したりといった流れが広まっています。

自分が体験した話を少しだけ。某大手外資系のネットワークの仕事を少しばかり扱う機会がありましたが、その企業はもとは旧来の日本企業で国外資本に買収され、社内体質はほとんど国内企業といって良い体質の企業でした。都内に数千人規模のオフィスを複数抱えていましたが、なんとWANの上流が200Mbps-400Mpbsといった、時代的には一世代か2世代前の構築をしており、パフォーマンスも悪く、インターネットを参照するだけでも非常に遅くストレスの蓄積する職場だったのをよく覚えています。
しかも通信回線は一括契約で某海外大手事業者がWANは実質アウトソースだったので自分たちで融通のきくネットワークを構築することはできませんでした。
こんなに多くの従業員が居るならMANを引いて幹線を全部10G、まぁ10Gとは行かなくても2-4Gbs程度にあげたらどんなに快適かと進言したい気持ちでしたが、残念ながら日本支社にはネットワーク構築の予算もイニシアチブを取る権限も与えられておらず、なにもできずじまいでしたが。


ということでいろいろ余談混じりで脱線しながら始まりましたが、まぁ、のんびりお付き合いください。
続く。

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