2013年4月13日土曜日

MAN構築のすすめ(12:NTTの県またぎに注意)

これは筆者の経験です。

NTT法というものがあります。これはNTTがかつて電電公社時代の国民が税金で負担したインフラを継承している関係で、様々な規制事項をNTTに対して法制化しているものです。
でないと、放っておいてもNTTグループのシェアばかり強く、公正な競争が妨げられるためです。

NTTは法律によっていくつかの会社に分離されています。法律に寄ってもっと厳しい制約を受けているのは言わずと知れたNTT東日本、およびNTT西日本です。
この他にもNTTコミュニケーションズやNTTドコモもグループとしての制約はありますが、NTT法による規制としては前者のそれほどではありません。
NTT東日本やNTT西日本のことをNTT内では地域会社と呼ぶこともあります。法律により、地域に特化したビジネスを行うように制約を受けているためです。
NTTグループでは地域内のビジネスはNTT地域会社。県間及び国際についてはNTTコミュニケーションズが担当し、携帯電話事業はドコモが行うというように棲み分けができています。

この規制の中の県間通信に関する制限ですが、これがじつは厄介です。当初の取り決めで、NTT地域会社は同一県内(都内)から他県にまたいだサービスが規制されているため、県間サービスはNTTコミュニケーションズの領域ということになります。
(例:マイラインの例がわかりやすい。電話の市内通話は地域会社の担当、他県への通話、国際を含む長距離通信は長距離通信会社(NTTの場合はNTTコミュニケーションズ)が行うということになります。
2003年に法改正があり、BFLETSなどはこの制約を受けずに県またぎのサービスを提供できるようですが、ファイバーの物理インフラについてはいまだに地域会社この制約を受けているため、たとえば東京から神奈川までダークファイバーをNTTから調達したくても県間通信の制約上、実際はできないという状況が発生します。
ならNTTコミュニケーションズに借りに行けばいいじゃないか?と思われるかもしれません。
おっしゃるとおりです。ただしNTTコムは地域会社と異なり、ダークファイバーの開放義務が実は法律で定められていないのです。
実績としてファイバーを貸さないというわけではないようですが、当然自社のサービス用途にプライオリティが置かれるわけであって、NTTコムは貸したくなければ貸さなくてもよいうというのが現状です。特に競争が激しい関東近県では県またぎのダークファイバーは仮に空きがあっても実際にダークファイバーが調達できるかというとそうではないというのが実情です。

前記の棲み分けの影響のせいか定かではないのですが、NTT東に県またぎのダークファイバーを申し込んでも対応してもらえないという状況に遭遇したことがあります。(法的な規制から貸すことができないというのが実情で、当然といえば当然)

もし、当初のNTT法の規制に従えば県間をまたぐ通信サービスおよび幹線はNTTコムの領域ということになるので、これはNTT地域会社の領域ではないので実質的には借りられないということになると思います。

とある事業者は県境に数百メートルの渡しのファイバーを敷設し、そこで電柱の上で受け渡し用の中空クロージャを設置し、県間通信をうまく渡して繋げているという事例もあるようです。
借り上げる対象地域が東京都内だけなら通常、何も問題なく、空きがあれば貸してもらえますが、県またぎ(例:東京ー千葉、埼玉、神奈川など)の構築をNTTに依存する場合は注意が必要です。
(というより、県またぎをする場合は、NTT以外の事業者を経由させるのが一般的で現実的です。)
ダークファイバーを貸してくれる事業者はNTTだけではありません。競合するKDDIや鉄道事業者、電力会社、国土交通省、東京都などの自治体、CATV事業者など選択肢はたくさんあります。

もっとも、うちはNTT使わないから...ということであれば問題ないですが、すべてNTTのダークファイバーでつなごうとすると思わぬ問題にぶち当たることもあるかもしれませんよ、ということでした。

続く。

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