2013年5月4日土曜日

MAN構築のすすめ(20:無線と有線のネットワーク)

今回はMANの構築とは直接は結びつきませんが無線のネットワークと有線のネットワークを考えてみたいと思います。

3Gは4G(LTE)が爆発的に普及し、最近ではわざわざ自分の住んでいる家やアパートにかつては絶対必要と思われたADSLや光ファイバーを使ったインターネットを引かずに、Wimax、4G-LTEのWIFIルーターなどで代用し、無線の環境しか持っていないユーザーも珍しくなくなりました。

2013年現在、LTEでは100Mbpsの速度を達成できる無線ネットワークが徐々に普及し始めています。
今の時点では、3.9G(初期のDocomo Xi)またはUQ-WIMAXなどで40Mbpsの速度がかなりの割合で普及しています。(40Mとは規格上の速度で実効速度は1M-10M程度ですが)

これに対して光はどうでしょう。NTTのBFLETSの場合PONというパッシブ型の波長分岐装置を使うことで幹線を走る一本の光ファイバーに32世帯の波長を載せてそれぞれにBFLETSサービスを提供することが一般的に行われています。
これにより、上流(局側)のインターフェイスが1Gbpsでも、各世帯の実効通信速度は32Mbps程度に抑えられています。
(詳細はNTTのリファレンス参照)
http://www.ntt.co.jp/journal/0508/files/jn200508071.pdf

なんだ、光で32Mbpsで最新のLTEが100Mbpsなら無線のWifiルータのほうがいいじゃないかと思いがちですが、これはあくまでも一般ユーザがインターネットを使用する場合の前提条件です。

企業のオフィスはどうでしょう。
無線LANはかなりの割合で普及していますが、無線子機が相変わらず100Mbpsで複数のノートパソコンを接続するような状況は当たり前に行われています。
無線LANも当初11bから始まり、現在では11nまで使用が拡張していて、いわゆるバンドル技術に寄って300M-600Mといった速度が謳われるようになって来ました。
これ以外にも11acではギガビット以上の速度を無線で達成することも現実的になって来ました。

問題は帯域補償です。

一般のIT企業、特にいわゆる大型データセンターを運営するような企業が使用するネットワーク機器で幹線の接続に無線LANを使用している企業は事実上、皆無です。(災害時のバックアップ用途は除く)

理由は簡単です。無線は帯域が補償されていないためです。
仮に11nで300Mの無線LAN機器を導入しても絶対に300Mbpsのスループットは出ません。少し考えればわかることですが、我々の環境には様々な電波が飛び交っています。よく言われるのは電子レンジの干渉で11bなどと電子レンジが同じ2.4GHz帯を使用するため、電子レンジが妨害電波の役割をしてしまい、パフォーマンスが達成されないなどということは一般的に起こっている事象です。それ以外にも違法な無線機器や電気通信機器。強力な電波を発するトラックの無線などが通るとFMラジオが一時的に混線し、聞こえなくなったりアナログテレビ時代はテレビが見えなくなったりという経験をされた方も多くいらっしゃることでしょう。

このように空中を飛び交う電波は事実上、境界線がなく、違法な電波や干渉する電波はどこからでも飛んできますから、これらによってもたらさせるパフォーマンス低下は避けようがありませんし、故に帯域を報奨することも無線通信においては困難です。

光ファイバーはどうでしょう。
おそらく現在普及している通信方法でもっとも外部干渉を受けにくく、帯域保証が可能な通信方法といって良いかもしれません。
電気信号の電磁的通信を使用する旧来のアナログ電気通信はどうでしょう。これらもやはり周辺の電磁波の影響を少なからず受けます。(無線のそれほどは影響は受けませんが、間違い無く受けます、また盗聴のリスクもあります)
光ファイバーは1Gbpsという仕様ならその帯域速度は保証されています。(すべて規格にあったファイバー通信機器を構成するという前提ですが)
なので10Gのインターフェイスを購入し、接続を光ケーブルで距離や減衰値もすべて使用内に収まる設計にすればかならず10Gのパフォーマンスは得られます。実際は機器側のボトルネックによって95%とか、そういったパフォーマンスになることもありますがこれは使用する機器やインターフェイスによるもので通信規格に寄ってもたらされるパフォーマンス低下ではありません。


自分の経験ですが、ある日突然、ビジネスで使用していたADSLが疎通できなくなったことがありました。結局原因は不明で仕方なく光に切り替えた経験があります。
ADSLは日本仕様のISDNの干渉することは知られて言いましたが、干渉の事実を証明することは事実上難しく、繋がらなくなったら別の手段で、という以外、当事は手法がありませんでした。

あとISDNやADSL,旧来の音声電話通信には盗聴がつきものです。(流れているのが電流なので盗もうと思えば比較的盗みやすい)
インターネットの通信にはhttpsなど、暗号化の仕組みが最初から組み入れられているプロトコルも多いですが、すべてが暗号化されているわけではないので盗聴の不安はつきまといます。
(これはセキュリティーの弱いクリアテキストが見えてしまう無線LANでも同じ事がことがいえますが。)


なので帯域を極力最大限まで生かしつつ、確実な通信を行うには、現在の技術では光ケーブルを使用した通信以外に選択肢はないでしょう。
長い距離をまたぐ通信ができるのも光通信の特徴です。衛星通信もありますが、そのディレイなどの問題は衛星の特性上、なかなか簡単に解決できる問題ではありません。

オフィスで無線LANは便利ですが、パフォーマンスを考えれば有線LANにすべきです。
無線に比べれば不意の電波問題によってもたらされる通信障害の確率は格段に低くなります。

つづく





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